心療内科,神経内科,神経科,内科,精神科 むらた医院

〒604-8832 京都府京都市中京区壬生下溝町60-12(西新道高辻上ル)

電話:075-325-2301 ファックス:075-325-2302

お薬の話

抗うつ剤について

 うつ状態の生物学的基盤を説明する仮説としてモノアミン仮説がありますが、これは脳内のセロトニン・ノルアドレナリンの機能が低下しているというものです。だからこれらの物質を脳内で上昇させようとするものです。

1)NaSSA:ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬と和訳される新しい薬です。リフレックスという商品名です。

2)SSRI:SSRIとは選択的セロトニン再取り込み阻害薬のことで、セロトニン系に選択的に作用します。現在フルボキサミン(ルボックス・デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)があります。うつ状態の他に、強迫性障害・パニック障害・摂食障害にも効果があります。

3)SNRI:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬のことでミルナシプラン(トレドミン)があります。中年以降の男性では排尿障害の副作用に注意を要します。

4)三環系・四環系抗うつ剤:モノアミンに選択的に作用するわけではないので抗コリン性の副作用(口渇・便秘・排尿障害など)が問題になります。作用の発現に時間がかかるという問題があります。

5)その他:スルピリド(ドグマチール・アビリット)もしばしば使用され、効果も優れていますが、女性では乳汁分泌無月経症候群を老人ではパーキンソン様症状を認めることがあります。

睡眠導入剤(睡眠薬)について

 睡眠導入剤(以下睡眠薬)というと「やめられなくなる、大量に飲むと死ぬことがある」などといった怖いイメージをもっていらっしゃる方が多いようです。実際、不眠症が睡眠薬によって改善しているのに知人や家族から、「呆ける」「精神病になる」「やめられなくなる」などと言われて中止された方がたくさんいらっしゃいます。しかし、専門医の指示に従って用法・用量を守ればその様な心配はいりません。
多くの種類の睡眠薬がありますが、作用時間によって超短時間型(ハルシオン)短時間型(レンドルミン・リスミーなど)中間型(サイレース・ベンザリンなど)長時間型(ドラール・ダルメートなど)に分類されます。そこで、不眠のタイプによって睡眠薬を使い分けるのが一般的です。

1)入眠障害(寝付きが悪いもの):超短時間型~短時間型を服薬
2)熟眠障害(熟睡感がない):短時間~中間型を服薬
3)途中覚醒(何度も目が覚める):中間~長時間型を服薬

尚、大切なことは「早朝覚醒はうつ状態の典型的なサインですから早めに専門医への受診をお勧めします。」ということです。
また、最低これだけは守って欲しいというものは

a)睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもとですし、アルコールと一緒に睡眠薬を飲むことは絶対にやめてください。
b)自分の勝手な判断で量を加減したり、中止しない。
c)自分の薬を他人にあげたり、他人の薬をもらって飲んだりしない。

ということです。

抗血小板薬について

抗血小板薬(プラビックス・バイアスピリン・プレタール・パナルジンなど)は、脳梗塞や心筋梗塞に対して非常によく使われている薬剤です。しかしながら意外にも、本当のことを良く知らずに処方され、効果も副作用も知らずに薬を飲んでらっしゃる方が多いのです。最もよく聞かれるのは「血液をサラサラにする」ということですが、抗血小板薬にはそのような作用はありません。抗血小板薬は血小板の粘着・凝集を抑制する効果しかありません。副作用は出血です。特にラクナ梗塞に罹患されたことがあるような高血圧の患者さんは要注意です。抗血小板薬には拮抗薬は存在しません。だから「脳梗塞のけがある」といわれたから抗血小板薬を飲むとか、血液をサラサラにするために抗血小板薬を飲むといった危険な行為は今すぐやめましょう。心臓や脳血管を精査した上でアテローム血栓性の変化を認めた場合に限って、またその場合はより積極的に抗血小板薬を飲みましょう。


認知症の薬について


現在4種類の処方薬があります。コリンエステラーゼ阻害薬の飲み薬として、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(レミニール)の2種類があり、貼り薬としてリバスチグミン(イクセロン・リバスタッチ)があります。またNMDA受容体拮抗薬の飲み薬にメマンチン(メマリー)があります。それぞれの薬には長所・短所がありますのでその使い分けが大切です。